最終更新日: 2011/10/23 作成日: 2008/07/10

「選ぶ」とは

ここで言う「選ぶ」とは、選択肢がまず用意されて、どれかを選ぶ場合について。 たとえば、レストランでメニューを見るときや、保険を選ぶときなど。 「人生は選択だ」とか言う意味での選択ではなくて、もっと具体的な場合の話。

選択肢について考えてみる

選択肢があるということは、その個々の選択肢には相違があるはずだと考えるものだろう。 そもそも選択肢が同じなら、選ぶこと自体に意味がなくなってしまう。 たとえば、夫が帰宅したときに「ご飯にする?それともお風呂が先?」と妻が問うとき。 選択肢はご飯かお風呂かなわけだが、これが―冗談では言うかもしれないが―「ご飯にする?それともご飯が先?」という風だったら、その選択自体に意味はない。

つまり、確かに選択肢はそれぞれ違うんだろうと想定できる場合について。 でもここで考えるのは一見すると何が違うのかが明確に分からないとき。 たとえば、炊飯器や洗濯機を使うとき、しばしば「おいそぎモード」なるものがある。 もちろん「標準モード」もあって、尚かつ「おいそぎモード」があるということだが、この場合、どう考えても「標準モード」と「おいそぎモード」は違うはずだ。

ユーザビリティ(使いやすさ)を考えると、名称からその機能がどんなものかを出来る限り想像できるように設計―というか名付け―されているはずだからどう違うかをモードの名前から推測してみることにする。 “「おいそぎモード」がただ単純に「標準モード」よりも早く仕上がる”という違いがあるならば・・・と考えてみる。 それならば、今ある「標準モード」を無くして、「おいそぎモード」を新しく「標準モード」にするべきだし、そう設計するに違いない。 同じクオリティでより早く仕上げられるモードを標準にしないわけがない。

“何かしらの犠牲を払って、その代わりに「標準モード」よりも早く仕上げることが出来るのが「おいそぎモード」だ”と考えるのが妥当だろう。 では、その何かしらの犠牲とは何だろう。色々考えられるが、洗濯機について述べれば以下のようなものが可能性として考えられる。 (以下のことは“「標準モード」よりも”という意味で捉えてほしい)

  • 消費電力が減る、または増える
  • 使用する水の量が減る(増える)
  • 汚れが落ちない
  • 生地を傷めてしまう
  • 洗剤が落ちないで残る

以上はあくまで可能性としての話。 「おいそぎモード」では洗濯する時間が短くなるので、単純に単位時間あたりの消費電力だけでは判断できない。 汚れが落ちる落ちないは、汚れにも依る。 生地自体が傷みやすいかどうかも関わってくるので一概に生地を傷めてしまうとも言えない。 ダマになって落ちにくい固形の洗剤を使う場合と液体洗剤とで洗剤の残留量も変わる。

これ以上の推測は、勝手な憶測にしかならない場合が多い。 実際にどうなのかを確かめなければ話は進まない。 そこで洗濯機のマニュアルを読んでみた。

私の使っている洗濯機では、どうも「おいそぎモード」はあまり汚れがない場合に使うのが良いようで、それほどマイナスではないようだ。 洗濯時間の短縮と洗濯液を衣類に吸収させるために少ない水量から「洗い」・「すすぎ」が始まるとのこと。 つまり、「標準モード」に比べて水量が減って、―ネガティブに表現すれば―汚れが落ちにくいということだろう。 余談だが「すすぎ」が完全でないと洗剤が衣類に残って黄ばみの元になるので適量を心がけた方がいいようだ。

このことから考えると、単なる汗のような汚れならば「おいそぎモード」でいいだろう。 ちなみに私の洗濯機には「洗剤半分コース」もあって、これは―少ない汚れの衣類に対して―速さよりも洗剤量の削減に力点が置かれているようだ。

よりよい選択肢を選ぶために

言いたかったことは「ただ無意味にその機能があるわけでないはずなので、ケースバイケースでモード切替をするべき」だということ。 何も考えずに「単にかかる時間が短いから」という理由だけで「おいそぎモード」を使うのはやめた方がいい。 だが推測だけで結論することは間違いを多くはらむ。 実際にその選択肢はどのようなものが想定されて用意されているのかを確かめなければいけない。 それが自分にとってよりよい選択をすることに繋がる。